みなさん、こんにちは。キネマ翻訳倶楽部SCHOOL広報担当で字幕翻訳家の山名です!
さて今回は、「字幕の特殊な点5つ」をテーマに記事を書いていきたいと思います。
洋画や海外ドラマを字幕で楽しんでいらっしゃる方は、字幕を読みながら映像を見ることに慣れているし、普通のことと思われるかもしれませんが、実は、字幕というのはよくよく考えるととても特殊なものなのです!そこで、特殊な点5つを以下に書き出してみました。
①耳で聞いた音声を目で読んで理解する
②映像を見ながら読む
③後戻りができない
④ぱっと現れてぱっと消える
⑤脚注がつけられない
こうやって改めて書き出してみると、「なるほど、確かに特殊だ!」と思いませんか?①にあるように、耳で音声を聞きながら目では字幕を読む、というのは字幕付き映像作品でしかしないことですよね。一度に2つの作業をしていると考えると、字幕は読みやすく、理解しやすいほうがいいと思いますよね。それは②を考えたときも同じです。映像も楽しみたいし、内容も理解したいとなると、ぱっと読んですぐ理解できる日本語字幕が理想だと思いませんか?
そして③の「後戻りができない」。劇場で映画をみているとき、「あ、今の字幕をもう一度読みたい!」と思っても、後戻りはできません。海外ドラマなどの配信作品なら早戻しは可能ですが、早戻しをする視聴者は少ないですし、そもそも早戻しをさせた時点でその字幕は失格です。また、字幕は④にあるように、ぱっと現れてぱっと消えてしまいます。視聴者は、字幕がいつ消えてしまうか分からない状況で字幕を読んでいるわけなので、やはりその限られた時間で読んで理解できるような字幕でないとダメですよね。
最後に、⑤の「脚注がつけられない」。書籍でしたら、「※〇〇はXXという意味です」といった脚注がつけられますが、字幕ではそうはいきません。もし脚注があったとしても、その脚注を読んでいるうちに字幕は消えてしまうし、映像もどんどん進んでしまいます。なので、難しい言葉は避け、誰が読んでもわかる言葉選びをしなければなりません。
こうやって特殊な点を考えていくと、字幕翻訳者は「視聴者にとって読みやすく、理解しやすい字幕」を意識し、視聴者がストレスなく作品を楽しめるようにすることが大事だということがわかりますね。
こちらのYouTube動画でさらに詳しい内容をお話ししています。ぜひご覧ください!
https://www.youtube.com/watch?v=nW1qOIgfmhY