マインドマップ Day 11

みなさん、こんにちは。キネマ翻訳倶楽部SCHOOL広報担当で字幕翻訳家の山名です!

さて今回は、「字幕翻訳と吹替翻訳の違い4つ」をテーマに記事を書いていきたいと思います。

字幕翻訳も吹替翻訳も、どちらも翻訳をするということには変わりないのですが、これらには大きく分けて4つの違いがあります。

①字幕は目で理解し、吹替は音で理解する

②字幕は音声が外国語で、吹替は音声が日本語

③字幕は字数制限に合わせて翻訳し、吹替は原文の尺に合わせて翻訳する

④字幕は1人で行い、吹替は大勢で行う

まず①ですが、字幕の場合、セリフは文字を読んで内容を理解し、吹替の場合は音声で理解します。字幕は以前もお伝えしたとおり、字数制限があり、基本的にその制限文字数以内でセリフを翻訳します。一方吹替はしゃべっているところに日本語が充てられるので、原文の尺に合わせて日本語に翻訳します。なのでかなり厳密です。

そして②ですが、字幕の音声は英語だったり他の外国語だったりします。例えば英語を知っている人が字幕で作品を見る場合、誤訳があれば誤訳だとバレてしまいます。吹替の場合、音声は日本語なので原音(元の言語)は聞こえません。なので、原音の尺に合わせて演出されることもあります。昔は演出過剰と言われるほど演出が加えられていたそうですが、現在は過剰演出は減少傾向にあります。というのも、最近は1つの作品が字幕と吹替で出されることが多いので、吹替版にあまりにも演出が加えられていると字幕版と違っちゃったりします。また、字幕も吹替も両方楽しみたいという方も多いので、吹替が字幕と大きく離れないようにする必要があります。

③は、字幕は字数制限(読みきれる字数)に合わせて翻訳し、吹替はセリフを話している人の口が動いている間はしゃべらせる必要があるので、原文の尺に合わせて翻訳をします。画面では口が動いているのに日本語が何も聞こえなかったら不自然ですよね。

最後に④ですが、字幕翻訳の場合、翻訳者が翻訳⇒翻訳会社の人が字幕をチェック⇒クライアントが字幕をチェック⇒完了、という流れで作業が進みます。吹替翻訳の場合、翻訳者が吹替用台本を作る(翻訳)⇒声優さん・演出家・音声編集家の立ち合いの元、セリフの収録が行われます。収録をしつつ、演出家が適宜セリフを修正していきます。翻訳者も収録に立ち合うという場合もあります。このように見ていくと、吹替の方が関わっている人々の人数が多いのが分かりますよね。

同じ「翻訳」といっても、字幕と吹替とでは、このような違いがあるのです。吹替翻訳は、「台本の作成」作業といったほうが近いかもしれません。

こちらのYouTube動画でさらに詳しい内容をお話ししています。ぜひご覧ください!

https://www.youtube.com/watch?v=z8s5evVg98E