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オンライン講座②

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第2回 [字幕翻訳 基礎編]

皆さん、こんにちは(こんばんは)。
初回の講義は楽しんでいただけましたでしょうか。
今回はもう少し長めのセリフになります。
では、さっそく始めましょう。

[講師]
前回の講義である程度コツがつかめてきていると思いますので、今回はもう少し長めのセリフを扱います。
少し難しい箇所もあると思いますが、チャレンジしてみてください。

[受講生]
はい。がんばります!

[講師]
その意気です。
今回は40代の女性と20代の男性の会話です。
2人の関係としては、男性は女性の家によく遊びにきていて、男性は女性に好意を寄せていますが、女性は男性のことを弟のようにしか見ていません。
自分の財布からお金が減っていることに気づいた女性が、男性に話しかけるシーンからです。

女:① Are you…(1秒=4文字)
  ② Have you taken any money from my purse, for some reason, recently?
(3.5秒=14文字)
男:③ No. (1秒=4文字)
女:④ I’m only asking because, if you were short of cash again, I could lend you some more. (4秒=16文字)
⑤ I’d rather do that than for you to feel you have to take it from me.
(3秒=12文字)
男:⑥ I said I haven’t. (1.5秒=6文字)
女:⑦ Right. (1秒=4文字)
男:⑧ Do you want me to give you your keys back, I mean I will, I’ll give you them back.(3秒=12文字)
女:⑨ No. No. I just wondered whether you were especially short of money at the moment. (4.5秒=18文字)
男:⑩ Christ! I can’t breathe in my rooms, and now I can’t breathe here.
(3.5秒=14文字)
女:⑪ Eh, it’s alright. (1.5秒=6文字)

前回は短いセリフが続いていましたが、今回は短いセリフと少し長めのセリフが混ざっています。
なお、今回からセリフの秒数だけでなく、制限字数も記載してあります。

それでは、①と②から始めてみましょう。

[受講生]
①“Are you…(1秒=4文字)”の直訳は「あなたは…」です。
②“Have you taken any money from my purse, for some reason, recently? (3.5秒=14文字)”の直訳は「近頃、何らかの理由があって、私のお財布からお金を取り出したりした?」といった意味だと思います。
①はそのまま「あなたは…」でどうですか?
②は14文字なので、だいぶ削る必要がありそうですね。
「近頃私のお財布からお金を取り出した?」でどうでしょう?

[講師]
惜しいですね。
①ですが、まず注意したいのは、①の“Are you…”と現在形で言いかけてから、“Have you ~”と現在完了形に言い直している点です。ただし、この違いを字幕で表現するのは非常に困難です。なぜなら、日本語では文末でないと時制を表現できないからです。そのため、ここでは現在形から現在完了形に言い直していることは認識するだけに留めておきます。
①に関しては「あなたは…」でも制限字数には収まっているのですが、こういった場合に「あなたは…」とはあまり言わない気がします。言いづらいことを話し始める時にどう言うかを考えてみてください。

続いて②ですが、それほど悪くないと思います。
中くらいの長さの字幕は初めてですので、少し解説しますね。

制限字数は増えましたが考え方は同じです。まず削れる情報を探します。しかし、言い回し以外で削れる情報はありません。言い回しをコンパクトにするとこうなります。

近頃何らかの理由で
私のお財布からお金を取り出した?

これでは、24文字なので10文字オーバーです。こういう場合はバッサリとカットする必要があります。この中でカットできるものは“何らかの理由で”です。女は相手に配慮をしてこう言っている訳ですが、“近頃”“財布”“お金を取り出した”は必要な情報のため削ることはできません。こういった場合は、削っても一番影響の少ない情報をカットします。その結果がこうです。

近頃私のお財布から
お金を取り出した?

あなたの字幕とほぼ同じですね。違う点は1行か2行かだけです。ここで覚えておいていただきたいのは、字幕は1行に入れられる文字数にも制限があるということです。基本的には、横字幕の場合は1行に14文字までになります。
従って、あなたの字幕を区切りのいい箇所で改行すると、「近頃私のお財布から/お金を取り出した?(※ /は改行マーク)」となります。
ちなみに、字幕は通常2行までになり、3行以上のものは滅多にありません。

さて、だいぶ減りましたが、まだ3文字オーバーです。3文字くらいいいと考えてしまうと、字幕翻訳の実力は向上しないので、3文字減らせないか考えてみましょう。

[受講生]
では、①は「ねえ…」とします。
②は「近頃私のお財布から/お金を取った?」でどうでしょう?

[講師]
①はOKです。
②はもう一つですね。“お財布”と“お金”と名詞の前に2つ“お”がついていて少しクドい気がするので、“お財布”の前の“お”は削ってもいいと思います。ただし、“お金”の前の“お”を削除するのは、キャラクターが変わってしまうのでNGです。
続いて、“取り出した”を“取った”に変更してますが、“取った”と言うと、どうしても“盗んだ”というニュアンスが出てきます。しかし、ここは“盗んだ”というよりも、2人のお金が女の財布に入ってて、そこから男が自分のお金を取り出したというニュアンスで言っているように感じます。その点を踏まえて言い替えてみてください。

[受講生]
なるほど。難しいですね…。
そうしたら、「近頃私の財布から/お金を…」ええと、どうしたらニュアンスにピッタリ合う表現になるかですよね。
しかも、3文字以内で…。
うーん。「出した」でどうでしょう?

[講師]
いいですね。
最終的に、どんな字幕になりますか?

[受講生]
「近頃私の財布から/お金を出した?」です。

[講師]
バッチリです。
“お金を出した”であれば、盗むというイメージが薄まるので、遠まわしに聞いているセリフにピッタリ合っていると思います。

ここで1つ覚えてもらいたいことがあります。
“近頃私の~”が少し読みづらいので、“近頃”と“私の~”の間に半角アケを入れます。字幕は基本的に句読点を使用しないので、句点(。)の代わりに全角アケを使用し、読点(、)の代わりに半角アケを使用します。それに加え、ひらがなや漢字が続いて読みづらい場合も半角アケを使用します。
従って、“近頃”と“私の~”の間に半角アケを入れて、「近頃 私の財布から/お金を出した?」となります。

[受講生]
分かりました。
覚えておきます。

[講師]
では、③に進みましょう。

[受講生]
③“No. (1秒=4文字)”は直訳のまま「いいや」でどうですか?

[講師]
OKです。
次の④はどうでしょう?

[受講生]
④“I’m only asking because, if you were short of cash again, I could lend you some more. (4秒=16文字)”の直訳は「私は尋ねてるだけなの。だって、もしもまたお金に困ってるなら、もっと貸してあげるわ」といった意味ですね。
これを14文字以内の字幕にするんですよね。まずはいつものとおり削れる情報を探すと…。主語や不要な接続詞等をカットすると「尋ねてるだけよ/またお金に困ってるなら もっと貸すわ」となりそうです。
でも、まだ10文字オーバーですね。③と同じく削っても影響の少ない情報である「尋ねてるだけよ」をバッサリ削除して「またお金に困ってるなら/もっと貸すわ」として…。まだ1文字オーバーですか…。これじゃダメでしょうか?

[講師]
あと一息ですよ。
まずは“またお金に~”だとひらがなが続いて読みづらいので、間に半角アケを入れて“また お金に~”としましょう。
さて、ここでのポイントは“また”と“もっと”というのは同じことを意味している点です。つまり、以前にも男が(おそらく幾度となく)金を借りているということです。こういう場合、どちらか1つでニュアンスは十分に伝わります。

[受講生]
なるほど。
そうしたら、「お金に困ってるなら/もっと貸すわ」でどうでしょう?

[講師]
OKです。

[受講生]
続いて、⑤“I’d rather do that than for you to feel you have to take it from me.(3秒=12文字)”ですね。直訳は「あなたが私からお金を取らなきゃならないと感じるくらいなら、むしろそうしたいの」といった意味。これを12文字以内ですか!?

[講師]
そうです。かなりの難問ですが、チャレンジしてみましょう。

[受講生]
こうなったら、前半をバッサリとカットして「むしろ そうしたいの」として…。それだけだと意味が分からないので意味を補足したほうがよさそうですね。「むしろ お金を貸したいの」としてはどうでしょうか?

[講師]
チャレンジ精神は認めますが、それでは女の気持ちが伝わり切っていないように思います。こういう場合は、話者の気持ちを踏まえて≪意訳≫します。このセリフを言う女はどんな気持ちだと思いますか?

[受講生]
そうですね…。
「あなたに、お金を取ろうなんて思ってほしくない」という気持ちでしょうか?

[講師]
悪くない考え方ですよ。
もう一歩踏み込むと、“あなたがお金を取ったなんて考えたくない”といった具合になります。この気持ちを端的に言うとどうなりますか?

[受講生]
端的にですか?
「あなたがやったとは思いたくない」とかでしょうか? でもまだ字数オーバーですね…。

[講師]
もう一歩です。
悪いことをしたのではないかと思うことを何と言いますか?

[受講生]
“不審に思う”とか“疑う”とかですか?
なるほど。分かりました!
「あなたを疑いたくないの」ですね。

[講師]
バッチリです。
その字幕であれば、女の気持ちもしっかり伝わるし、前の字幕との流れもスムーズだと思います。
では、続けてください。

[受講生]
⑥“I said I haven’t. (1.5秒=6文字)”の直訳は「やってないって言っただろ」ですね。これを6文字以内ですか…。「やってない」でどうですか。

[講師]
いいと思います。
他には、「誤解だよ」とかでもいいですね。
次の⑦ Right. (1秒=4文字)はどうですか?

[受講生]
⑦は直訳のまま「分かった」でどうでしょう?

[講師]
悪くはないのですが、「分かった」とするのなら「分かったわ」と語尾を入れたほうがいいと思います。「分かったわ」でもいいのですが、1文字オーバーではあるので、「そう」くらいのほうが相槌を打ってるだけの感じがよく出る気がします。
では、⑧に進みましょう。

[受講生]
⑧“Do you want me to give you your keys back, I mean I will, I’ll give you them back.
(3秒=12文字)“の直訳は、「あなたのカギを返してほしいかい。それならマジで返すよ」
といった意味ですね。これを12文字以内なので、2つの文をまとめて「カギを返してほし
いなら返す」としてもまだ1文字オーバーですね…。“返す”が2つあるので、「カギを返
してもいいよ」でどうでしょう?

[講師]
悪くないのですが、“返してほしいなら”の気持ちを出したいですね。
こういう場合、何と言いますか?

[受講生]
“それなら”とか“だったら”とかですか?

[講師]
惜しいですね。
もっとピッタリのニュアンスの言葉があります。
この男の気持ちになって考えてみてください。

[受講生]
男の気持ちですか。
金を盗んだと疑われて…、少し不愉快な気分ですよね。
こういう場合に言うセリフは……、“何なら~しようか?”みたいな感じですかね。

[講師]
いいですね。
その気持ちで⑧を訳してみてください。

[受講生]
「何ならカギを返そうか?」です。

[講師]
いいと思います。
とても感覚的な話になりますが、“それなら”や“だったら”よりも“何なら”のほうがピッタリくる気がしませんか?

[受講生]
確かに、ドラマとかで言いそうなセリフですね。

[講師]
そのとおりです。
“言いそうな”というのがとても大事です。
この感覚を忘れないでください。
続けましょう。

[受講生]
⑨“No. No. I just wondered whether you were especially short of money at the moment.
(4.5秒=18文字)”の直訳は「違うの 私はただあなたが今とても金欠なのかどうなのか
が気になっただけなの」といった意味ですね。
18文字以内にするので、だいぶ削る必要がありそうです。
「違う 金欠なんじゃないかと/心配なの」ではどうでしょうか?

[講師]
うーん。“金欠”という言葉が引っ掛かりますね。
この場面でこの女性が“金欠”という言葉を使うでしょうか?

[受講生]
確かにそうですね。
では、「違う お金に/困ってないかと心配なの」でどうですか?

[講師]
悪くないと思うのですが、“違う”は語尾をつけて“違うの”としたほうが気持ちが出ると思います。ただし、そうすると、“違うの”と“心配なの”で語尾が重複してしまいます。このように語尾が重複してしまう場合は、どちらかを変えたほうがいいと思います。

[受講生]
語尾の重複にも気を付ける必要があるんですね。
分かりました。
では、「違うわ お金に/困ってないかと心配なの」でどうでしょう?

[講師]
悪くないと思います。
改行位置が“心配なの”の直前のほうが読みやすそうなので、「違うわ お金に困ってないかと/心配なの」としたほうがよさそうですね。
また、このセリフの場合は「違うの お金に困ってないかと/心配で…」と“…(3点リーダー)”を使って、言いよどんでいる感じを出してもいいと思います。

ここで“…”について少し説明しますね。
“…”は、言いよどんだり、言いかけてやめた時、もしくは余韻を残すために使用します。
例えば、「だって… 何でもないわ」や「こんなことになるとは…」といった感じです。
慣れてくると使い勝手がいいものになるのですが、あまり多用するとうるさいし効果が薄れてしまうので、必要な時のみに使用するのがいいと思います。

では次に進みましょう。
残り2つですよ。

[受講生]
⑩“Christ! I can’t breathe in my rooms, and now I can’t breathe here. (3.5秒=14文字)”の直訳は、「クソ! 自分の部屋では息ができないし、今はここでも息ができない」といった意味ですね。これを14文字以内にするには…。これもだいぶ削る必要がありますね。
「クソ! 自分の部屋ばかりか/ここでも息ができない」では、まだだいぶオーバーですね。思い切って“クソ!”をカットして、「自分の部屋ばかりか/ここでも息ができない」
としても、まだ5文字オーバーですね…。

[講師]
考え方は合ってますよ。
このセリフは“自分の部屋”と“ここ”が対比になっていますので、それを踏まえて“自分の部屋”をもっと端的に言うとどうなりますか?

[受講生]
ええと、“ここ”というのは女の部屋ですので…。
なるほど、自分の家と女の家ということですね。
そうすると、「自宅ばかりか/ここでも息ができない」でどうでしょう?

[講師]
いいですね。
もう一息です。
“息ができない”をより的確な表現にできませんか?

[受講生]
“息ができない”は“I can’t breathe”なので、“息苦しい”とか“息が詰まる”とかですか。

[講師]
そうです。
どっちがより的確かを考えて、字幕を修正してみてください。

[受講生]
この場合は“息が詰まる”のほうがピッタリ来そうですね。
「自宅ばかりか/ここでも息が詰まる」でどうでしょう?

[講師]
OKです。
ここは“Christ!”で始まり、怒鳴ってるセリフなので、文末に!をつけるとよりシーンに合うと思います。
従って、「自宅ばかりか/ここでも息が詰まる!」になります。
気づいてるかもしれませんが、ここの制限字数は14文字なのでまだ1文字オーバーです。
しかし、最後を「~息苦しい!」として1文字減らすよりも、「~息が詰まる!」のほうがピッタリ来るので、1文字オーバーでも可とします。
もしも1文字減らすのであれば、“自宅”⇒“家”として、「家ばかりか/ここでも息が詰まる!」という字幕にもできます。ここは対比のセリフのため、“家”が自分の家であることは、視聴者は感覚的にとらえることが可能だからです。
では、最後へ進みましょう。

[受講生]
⑪“Eh, it’s alright.(1.5秒=6文字)”の直訳は、「そう 分かったわ」といった感じでしょうか。ここは直訳のまま「分かったわ」でどうでしょう?

[講師]
それでも悪くないのですが、怒鳴った人に言うセリフなので、もう少し気持ちを出したいですね。

[受講生]
そうでしたね。
うっかりしてました。
そうしましたら、「落ち着いて」でどうでしょう?

[講師]
OKです。
それでしたら、怒鳴ってる人をなだめるようなセリフになっているので、シーンにも合うと思います。

これで一通りの字幕ができました。
まとめるとこうなります。

女:① ねえ…
  ② 近頃 私の財布から/お金を出した?
男:③ いいや
女:④ お金に困ってるなら/もっと貸すわ
⑤ あなたを疑いたくないの
男:⑥ やってない (代案:誤解だ)
女:⑦ そう
男:⑧ 何ならカギを返そうか?
女:⑨ 違うわ お金に困ってないかと/心配なの
   (代案:違うの お金に困ってないかと/心配で…)
男:⑩ 自宅ばかりか/ここでも息が詰まる!
(代案:家ばかりか/ここでも息が詰まる!)
女:⑪ 落ち着いて

これでしたら、分かりやすく流れのいい字幕になっていると思います。
前回よりも難しいものが多かったと思いますが、どうでしたか?

[受講生]
そうですね。
意味が分かっても、それを字幕で伝えるのは難しいことだと、改めて思いました。
でも、いい字幕が思いついた時は、ちょっとうれしいですね。
ちゃんとした字幕が書けるようになるには少し時間がかかりそうな気もしますが、もっとチャレンジしたいと思います。

[講師]
いい字幕を思いついた時は確かにうれしくなりますよね。
最初のうちはじっくり時間をかけて≪言葉と格闘≫するのがいいと思います。
そうやってじっくり時間をかけてるうちに、考え方のパターンのようなものが分かってきて、パッと思い浮かぶことが多くなってくるはずです。
また、学習を続けるうちに“字幕らしい字幕”と“字幕らしくない字幕”の区別がつくようになってくるので、そうすれば、自分で自分の字幕をチェックし、“字幕らしくない字幕”を“字幕らしい字幕”に修正できるようになります。
そうなれば、しめたものです。

ということで、次は自分で“この字幕がベスト”と思われるところまで字幕を練り込んでいく作業をしてみましょう。

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